Opus.92

LPレコードの感想など。

グラモフォン誌 1984年10月号から サイモン・ラトルとロスフィル 

サイモン・ラトル指揮、ロサンジェルス・フィルハーモニック管弦楽団によるラフマニノフ交響曲第2番が表紙となっている。まもなくベルリンフィルの芸術監督兼首席指揮者まで上りつめたラトルだが、ロスフィルの主席客演指揮者を1981年から1994年という長期に渡って努めていた。ただ、録音は少なく、このラフマニノフの録音が恐らく唯一のものと思われる。

記事では、次のようなエピソードが紹介されている。
ラフマニノフ交響曲第2番をロスフィルと最初に演奏したのは、5年前になるが、その時は、ラフマニノフ自身が同曲を振った際に在籍していた団員がまだ残っていた。ラトルは「完全版」の録音を行ったが、ラフマニノフはかなりカットして演奏していたようだ。(「完全版」というのが宣伝文句なだけにちょっとした皮肉である。)

ただ、興味深いのは、DG社がジュリーニとロスフィルの録音では、その本拠であるドロシー・チャンドラー・パビリオン(Dorothy Chandler Pavilion)を一切利用しなかった(ヴェルディ「ファルスタッフ」のライブ録音を除いて)のに対して、EMIが果敢にそのホールに挑戦したことだ。(この記事では詳しく書かれていないが、同ホールはクラシック音楽の録音には向かないようだ。)「(録音に関する諸問題を)マイケル・シェディ(Mike Sheady)が一気に解決したよ。」とラトルは述べている。(ラトルとシェディは頻繁に録音を行っている。)