Opus.92

LPレコードの感想など。

オイゲン・ヨッフム指揮ロンドン交響楽団 ベートーベン交響曲第1番ハ長調作品21

ヨッフムのベートーベン全集。ドイツEMI、1C 137-53 490/97。ヨッフム自身60年代RCOとの録音に続く2回目の全集。ロンドン交響楽団とロンドンでのEMIの録音でありながらLPの全集としてはドイツEMIからしか出ていない。この時代のEMI録音についての酷評はよく耳にするが、プロケーブルのバイタルに替えてからはそれほどとは感じなくなった。この全集を聴くのは2回目であるが、いろいろ新しい発見がありそうだ。

第1楽章の導入部からヨッフムの自在な棒裁きを聴くことができて面白い。独特なわずかな間を入れながら、フレーズ毎にフレッシュな音楽が溢れ出す。ヨッフムの粘りのある音楽の進め方は、ベートーベン的すぎるとも感じるが、ヨッフム的でもある。

一転、第2楽章は慎重に小節を掘り下げており、たっぷりと時間をかけている。音の厚みも心地よく暖かなな音色に包まれる。この辺りロンドン交響楽団は伝統的に上手い。

第3楽章は全体におとなしく軽めの演奏で抑えており、第4楽章は音楽の勢いを十分に感じさせる音楽になっている。