Opus.92

LPレコードの感想など。

エーリッヒ・ラインスドルフ指揮ボストン交響楽団 ベートーベン交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」

第1番、第2番と続けて聴くと判るが、またまた録音条件が違うようだ。ボストンシンフォニーホールの有名な残響感が特に強く感じることは無い。ただ、曲が進むと、不思議とそれが何かモノラル録音の様な朴訥とした簡素な音の圧力となって迫ってくる。その荒々しいまでの迫力がこの曲の激しい一面を見事に表現している。特に、第2番の4楽章、第3番の1楽章、2楽章の途中まで、を3枚目のA面に詰め込むというなんともいえないカッティング構成も、ちょっとなんとかならなかったのか?と思う。ところが、B面(2楽章の途中から4楽章まで)になるとまた音の印象が異なり、シャープさが加わり音の幅が広がり、バランスが良くなる。RCAの録音と対峙するのは大変な作業だ。

それでも、相変わらずボストン交響楽団のレベルの高さは十二分に聴くことができる。強調されすぎとは言え、低弦の充実した響きと強いバネをもった弦楽器全体のリズム感は臨場感を持って迫ってくる。ラインスドルフの曲への切り込み方も鋭敏で、色々な聴かせ方を繰り出しながら波打つ音楽を構築していく様は、熱狂的でもある。第2楽章の途中でB面に裏返す作業により中断されながらも(悲)、その熱狂は冷めることは無い。