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Opus.92

LPレコードの感想など。

カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 モーツアルト交響曲第29番イ長調K201

ボックスカタログ番号は2740 268、3枚組で西ドイツプレス盤。

ベームがベルリンフィルとモーツアルト全曲を録音したのが1959年から1968年にかけて。その後1976年から1980年の晩年にこのモーツアルトの録音をウィーンフィルと残した。比較されることが多いが、全く別の録音環境や条件であり、どちらがどうということは無い。

冒頭から実に美しくとろけるようなウィーンフィルの音を堪能できる。1980年6月録音でデジタル録音では無いところにこの録音の価値があり、それをレコードで聴くことができる喜びがある。(1ヶ月前の5月にロンドン交響楽団と行ったチャイコフスキー交響曲第5番は、デジタル録音である。)豊かな響きとたっぷりとした空間を余すところなく捕らえており、絶妙な表情の変化がゆったりとしたテンポの中で繰り返される。

なお、あの昭和女子大学人見記念講堂での最後のベームの指揮が1980年10月なので、そのイメージとの違いも驚かされる。ライブとセッション録音との違いということが大きいとは思うが、この6月から10月までの短い間にベームの求める音楽がまた少し違ってきたのかもしれない。このモーツアルトの録音で見せたウィーンフィルの余裕のある音楽とはことなり、人見での演奏にはどこかしら手探り感がある。