Opus.92

LPレコードの感想など。

ラファエル・クーベリック指揮パリ管弦楽団 ベートーベン交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」

1番から聴いてきたこのボックスも6番まで来ると後半に入ってクーベリックの世界にどっぷりとなってくる。

1973年1月パリでの録音。サウンドとして新鮮で、充分な響きを印象的に残す。細部の構造まできっちりと独特の時間軸で表現する音楽を、聴く方はじっくりと味わうことができる名演といえる。実は私はあまり田園を聴くのは得意では無い。表題音楽として魅力的だが、それほどオケによって私が望むほどの特徴というか違いがくっきりと出ないような気がするが、さすがにこの演奏はそういった面でも味わい深い。レコード時代としては珍しいパリ管弦楽による色彩豊かなベートーベン交響曲の録音ということもあるが、サル・ワグラムのなんとも香ばしい実りのある響きが非常に心地よく嬉しい。