Opus.92

LPレコードの感想など。

バーンシュタイン指揮ニューヨークフィルハーモニー管弦楽団チャイコフスキー交響曲第4番ヘ短調作品36

ボックスの6枚組、カタログ番号はCBS77605。プレス国の記載が無いが表記、及びリブレットは全て英語。購入はオランダからでオランダ語での価格シールが貼ってあるため、オランダ国内で流通していたのは間違いは無いと思われるが、レーベルにSIAE(イタリア著作権協会)のスタンプを押してあるため、イタリアプレスと思われる。通常のイギリス盤とはレーベルの色や文字フォントが異なり、なんと言っても音の印象が若干異なり軽くふんわりとした感じ。ただ、アメリカ盤のようなギラついた味では無く、音楽の響きを伝える欧州盤である。(後日、第5番についてイギリス盤と比較してみたが、圧倒的にこのボックス盤の方が音の味が出ている。イギリス盤の方は固くて音の響きが貧しいので、レニーの繊細さを味わうには物足りない。)

バーンシュタインのこの全集は、日本盤(ボックスの絵柄はチャイコフスキー1番で単品でイギリス盤としてリリースされたものと同じ)とこのボックスしかまだ出会ったことが無いので、貴重と言える。

第1番から第3番まで流して聴いたが、レニーならではの抜群なリズム感と旺盛な表現力を十分に楽しむことができる名録音という印象で、特に舞踏的な第3番が印象に残った。1970年の大阪万国博覧会のために来日する直前に録音したということだが、当時の若く好奇心に満たされたレニーとNYPOの積極的な音楽活動を感じさせる。

第4番になると、勿論こちらが何度も聴いた曲で馴染みがあるということもあるが、音楽の深みがぐっと増してくる。どうしてもレニー後期のDG録音との対比となるが、全く別の味わいを聴かせてくれる。演奏の速度というよりは、内面的な切り込み方と天井の高い建築のようなたっぷりな空気感と音の厚みの出し方の奏法が違う。この辺り、デジタル録音との違いもあり、アナログレコードならではの充実感でもあり、レニー節をたっぷりと味わうことができる。特に、2楽章などは、まるでレニーの歌である。