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Opus.92

LPレコードの感想など。

ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 ブルックナー交響曲第1番ハ短調(リンツ稿ハース版)

ハイティンクがACOと録音したブルックナー全集。ボックス番号は6717 002。12枚組でずっしりと重い。PHILIPS、英国プレス。

実は昨年末からこのブルックナーの全集を聴き始めたのだが、クリスマス、お正月というお祭りの雰囲気とは似つかわないので、なんとなく筆が止まっていた。2017年はブルックナーから始まることになったが、今年はじっくりとブルックナー沼にはまったりしながら音楽を聴く機会をさらに増やしたいと、年頭の目標を立てたところで、え、ハイティンクで1番?ということになる。LP時代のブルックナーならヨッフムとかが正統っぽいし、ハイティンクのブルックナーと言えば9番だが、全集ですからね。順番通りに聴かないと。0番よりも先にこのブログを書いてますが。。。

ハイティンク、ACO、PHILIPSと来て、やはり録音の良さがまず嬉しいところ。これは1972年の録音だが、ACOのまろやかさがなんともいえない芳醇さを加えている。2楽章での自然の風景を印象的に描いた曲想がなんと言っても素晴らしいが、ACOの上品すぎるぐらいの色彩で満たされる。1、3楽章のリズム感がいかにもハイティンクらしく確実で落ち着いた音楽の進め方である。全体で鳴っている時も非常に透明性がある響きで、明るい光で演奏が照らされている。オルガンの響きと比喩されるブルックナーの交響曲であるが、ハイティンクの捉え方は、確かにそうかもしれないが何かもう少しシンフォニックな構成を大切にしたもののように感じる。4楽章ではACOの響き、特に弦楽器の芯が揃った演奏にレベルが最高水準に達していることを思わせる音を聞かせる。1972年といえば、ハイティンクとのコンビが熟してきた丁度良い時期でもある。

DECCAレーベルで近年リリースされた全集のCDがあるので、試しに聴いてみた。CDで聴いてもそれなりに聴き応えがあるところがハイティンクの演奏らしいが、やはり音の採り方、拾い方が違い、カッティングエンジニアの感覚が40年前とは、そりゃそうだろうと思うが、かなり違うようだ。CDで聴きとれる程に、ハイティンク、ACOの音が当時ハイカラかつ劇的あったとは私には思えず、もう少し湿り気があり、影があるような気がする。