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Opus.92

LPレコードの感想など。

エーリッヒ・ラインスドルフ指揮ボストン交響楽団 ベートーベン交響曲第7番イ長調作品92

ラインスドルフ劇場のような1楽章。ただし劇場といっても観客は興奮して立ち上がっている訳ではなく静かにラインスドルフの世界観に浸るという感じ。「舞踏の聖化」(ワーグナー)、「リズムの神化」(リスト)、「他のいかなる曲よりも精神的疲労を生じさせる」(ワインガルトナー)などいろいろな表現があるが、ラインスドルフのとらえ方はまた異なるようだ。

交響曲第7番 (ベートーヴェン) - Wikipedia

時を正確に刻む精密機械の時計の内部の構成をじっくりと観察する時計職人のようでもある。それは舞踏といった賑やかな雰囲気ではなく、ベートーベンの芸術と真摯に向き合う真面目な研究者という趣を持つ。

朴訥で穏やかな音楽風景が流れる2楽章も趣がある。杭を打ち込むようなトゥッティを聴かせながら簡素に終わる。3楽章基本的には静かに歌うように音楽が流れる。音量の強弱、特に弱い部分での表現力に富み、フレーズのつけかたも味がある。決して演奏速度が遅い訳ではないのだが、3楽章がこんなに落ち着いた楽章であったのかと思う。ままたまた、レコード盤を替えて4楽章が始まる。音楽へのアプローチは4楽章になっても変わらず、演奏に慎重に丁寧に曲想を追いながら展開される。そのため聴き手は全体を余裕を持って見渡すことができて視野が広く感じられる。この曲全体を通して低弦楽器の音がよく採れておりそれに助けられる。