Opus.92

LPレコードの感想など。

リッカルド・ムーティ指揮フィラデルフィア管弦楽団 ベートーベン交響曲第9番ニ短調作品125「合唱」

1988年の録音。音楽の構成が素晴らしくムーティの音楽解釈の巧さがよく出ている。明快なリズム感とそれに追随する弦楽器群とティンパニの絡みは1、2楽章ととても面白く飽きさせない。第3楽章の弦楽器の美しく時間をたっぷりと蓄えた響きは期待通りで堪能できる。

第4楽章の前半のオーケストラ部分も引き続き素晴らしいが、やはりテノールから始める合唱部分はその歌手陣の実力もあり、エンジンがさらにかかってくる。合唱の重ね方が絶妙で美しく響かせる。

EMIの録音状態に問題があったベートーベン全集ではあったが、やはりムーティとフィラデルフィア管弦楽団の充実ぶりを体感するには充分な内容であったと言える。