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Opus.92

LPレコードの感想など。

ラファエル・クーベリック指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 ベートーベン交響曲第7番イ長調作品92

1974年9月、ウィーンでの録音。クーベリックが1970年にミュンヘンで録音したバイエルン放送交響楽団の同曲の録音を愛聴する私にとってみれば、非常に興味深い。クーベリックの音楽解釈が大きく異なるとは思えないが、それを受け取る側のオーケストラのスタンスの違いが如実に出ていると思える。

マーラーとの全曲録音が進んでいたバイエルン放響とはお互いに知り尽くされた仲であり演奏に一層の積極性が感じられて、それが集中力感や、ぞくぞくとするようなテンポ感が出ており4楽章の表現力は全くもって圧倒的である。一方のウィーンフィル盤は、アプローチが全く異なり、クーベリックの表現を丹念に解釈して確実に表現する職人感が出ている。音の響きはウィーンフィルそのものであり、堂々としてかつ繊細であり2楽章の冒頭からの弦楽器の重なり方は実に静香で美しくしなやかである。音楽の聴かせ方が違うという感じだ。ただ、ウィーンフィル側にちょっとした過剰な緊張感があるのは確かで、それが演奏スタイルにプラスアルファの影響をしているような気がする。

あまりにもバイエルン放響との演奏が素晴らしいだけに、いろいろとDGG社との契約を含めたいろいろとした詮索も、LP時代の背景を探る上で面白いが、結果論的であり、実際の録音現場では、少なくともクーベリック自身には、そこまでに意識があったとは感じられない。