Opus.92

LPレコードの感想など。

ラファエル・クーベリック指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 ベートーベン交響曲第2番ニ長調作品36

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1974年、コンセルトヘボウでの録音。音楽全体に流れる上質な気品を感じる。クーベリックの意図を的確に掴んで空間にそっと音を置いていく好意的な演奏は、録音セッションが非常に上手くいったことを思わせる。どの楽器群も全体のバランスや音楽の美しさの表現に集中力を持った演奏を聴かせる。ちょっとした音楽の流れの変化や、柔らかい表現などクーベリックらしさが満載となっており、風格と格式に満ちた名演奏と言える。

この交響曲の録音ではなかなか納得できるものを探すのは難しい。他のベートーベンの交響曲と比較すると、恐らく「何を求めるのか?」が指揮者、演奏者、聴き手によって幅が広すぎるため、結果全体の輪郭が見えにくくなってしまうのかもしれない。確かに、「絶対の名盤(まあ、そいいったものは本当は無いのだろうが)」というものがこの曲には存在しないように思える。

そういう意味で、この演奏も好みが別れると思えるが、私にはこのクーベリックすぎる演奏が自然と耳に入ってくるので、非常に嬉しく感じる。